アニメ業界おける色彩設計・色指定の仕事とは?仕事内容や必要な能力、就職までのルート等を解説
アニメ制作に携わる仕事の1つである「色彩設計・色指定」をご存知でしょうか?
聞き馴染みがないと感じる方もいるかもしれませんが、色彩設計・色指定は他のアニメ関連の職種と同様、なくてはならない仕事です。
今回はそんな色彩設計・色指定について、仕事内容や必要な能力、就職までのルート等を解説します。色彩設計・色指定の仕事が気になる方、将来はアニメ業界への就職をめざしている方はぜひご覧ください。
<目次>
- 1.アニメ業界における色彩設計・色指定とは?
- 2.色彩設計・色指定の仕事内容
- 2-1.色彩設計
- 2-2.色指定
- 2-3.仕上げ・彩色(ペインター)
- 3.色彩設計・色指定の就職先
- 3-1.アニメーション制作会社
- 3-2.映像制作会社
- 3-3.ゲーム制作会社
- 4.色彩設計・色指定に必要な資格・スキル
- 4-1.色彩の知識・センス
- 4-2.作品内容を理解する思考力
- 5.色彩設計・色指定になるまで
- 6.色彩設計・色指定をめざす場合の3つのルート
- 6-1.専門学校に通う
- 6-2.美術系の大学・短大に通う
- 6-3.独学で就職する
- 7.アニメの専門学校に通うメリット
- 7-1.プロに学べる
- 7-2.就職に有利
- 7-3.設備が充実している
- 8.まとめ
アニメ業界における色彩設計・色指定とは?
アニメ業界における色彩設計・色指定は、どちらも文字通り色彩に関わる工程を担当する仕事です。
色彩設計は、アニメ制作の際に使用する色の決定権を持つ職種であり、色に関する責任者のような立ち位置にいます。
色指定は色彩設計をサポートする職種です。色彩設計が決めた色のデータを受け取り、仕上げを行います。
アニメ制作にとって彩色は心臓部で最も重要なセクションといっても過言ではありません。色彩設計・色指定はアニメに命を吹き込む仕事なのです。
色彩設計・色指定の仕事内容
ここでは色彩設計・色指定の仕事内容について、さらに詳しく見ていきましょう。
同じく色に関わる「仕上げ・彩色(ペインター)」の仕事内容にも触れています。アニメ業界における色彩関係の仕事に興味がある方は、あわせてチェックしてみてください。
色彩設計
色彩設計は、どの色を使用するかを決める責任者のポジションにある職種です。画面に映る色のすべてを指定・指示するための「色指定表」という色に関する指示書を作成します。
また、シーンごとの最終的な仕上がりをチェックする仕事も担います。
色指定
色指定は、色彩設計が作成した色指定表を参考に、シーンごとの天候・時間・舞台・キャラクターの心情等に合わせて色を指定します。
間違った色が塗られていないか、仕上がったデータのチェックをするのも色指定の仕事です。
仕上げ・彩色(ペインター)
色指定表と原画を基に、線画へと色を入れてアニメ作品に仕上げる職種です。近年はグラフィックソフトを使用して彩色するやり方が一般的になっています。
詳しくは後述しますが、色彩設計・色設定の仕事は基本的にペインターからのステップアップでめざします。このためペインターは彩色の仕事を通して配色技法や色彩の知識・スキルを学ぶことが重要です。
色彩設計・色指定の就職先
色彩設計・色指定の就職先は、アニメーション制作会社の他に映像制作会社、ゲーム制作会社等があります。
それぞれの就職先でどのような仕事を担当するのか、以下でチェックしていきましょう。
アニメーション制作会社
色彩設計・色指定は、アニメーション制作会社の「仕上(彩色)」の求人に応募し、就職するのがもっとも一般的です。
アニメーション制作会社は原画や動画を描く人と、彩色する人で仕事が分かれているので、「仕上(彩色)」の仕事に就けば、色をつける仕事に専念することになります。
映像制作会社
映像制作会社に就職した場合、テレビやCM、映画等の制作に携わることになります。色彩設計・色指定は、映像が魅力的になるよう配色するのが仕事です。
ただし0から色を決めて彩色する訳ではないため、アニメーションとは異なる知識が必要になります。
ゲーム制作会社
ゲーム制作において色彩設計・色指定は、CGの色彩設計を担当するケースが多いです。
こちらは映像制作と違って0から色づけをするため、作業の感覚はアニメーション制作会社での仕事に近いと言えます。
ゲーム業界では近年、CGやVRの需要が高まっているため、色彩設計・色指定の仕事も需要が増えると予想されます。
色彩設計・色指定に必要な資格・スキル
色彩設計・色設定として仕事をするのに必須の資格はありません。しかし、以下のような色彩系の資格を取得しておくと就職で有利になる可能性があります。
- 色彩検定
- カラーコーディネーター検定
- 色彩士検定
この他、色彩設計・色設定に必要とされるスキルについても解説します。
色彩の知識・センス
色彩設計・色設定は色に関する仕事であるため、色彩の知識やセンスは必須です。目的や世界観に合った色を選ぶ能力が求められます。
個々の色だけを見るのではなく、画面全体の配色バランスを考えて色を選択することも重要です。
作品内容を理解する思考力
色彩設計・色設定の仕事は、アニメの世界観やキャラクターの心情を深く理解していないとできません。その場面で、キャラクターや世界観が魅力的に見える色使いを常に考えながら決めていきます。
作品に使用する色は、作品を通して伝えたいことや、キャラクターの心情に合わせて選ぶ必要があります。シーンや世界観にふさわしい適切な色を選ぶために、作品自体の内容をしっかりと理解することが求められます。
色彩設計・色指定になるまで
アニメーション制作におけるの彩色の仕事は、一般的にペインターから始まります。色彩設計者が作成した色指定表を基に、実際に動いて色を塗る作業を担当します。っていきます。
ペインターとして経験を積んだ後は、「色指定・検査」にステップアップしていきます。シーン毎に色を指定するこの仕事は、色彩設計の補佐的な役割を担います。
その後、色彩設計へステップアップし、色に関わるすべての業務を統括するようになります。すべての彩色を監督しなければならないことから、色彩の設計には全体を俯瞰して把握する力が求められます。それぞれのセクションに適切な指示を施すために、深い知識が必要になっているので、色彩設計はアニメ制作において、重要な役職として位置づけられています。
色彩設計・色指定をめざす場合の3つのルート
色彩設計・色設定の仕事をめざすルートは3つあります。
専門学校に通う
数年かけて基礎的な知識や専門的な技術を身につけ、それから就職をめざすルートです。
専門学校はめざす職種に特化した講義を受けられるため、短時間で効率的に高度なスキルが身につきます。また就職支援が厚く、特定の業界への就職に強いという特長もあります。
美術系の大学・短大に通う
専門学校と同様、数年かけて基礎的な知識や専門的な技術を身につけてから就職をめざすルートです。
めざす職種で求められるスキルに加えて、一般教養等を幅広く学べるため、特定の業界以外への就職もしやすく、希望する進路が変わっても対応しやすいのが強みと言えます。
独学で就職する
独学で知識や技術を身につけ、就職をめざすルートです。場合によっては未経験可で就職し、働きながら学ぶケースもあります。
学費を節約できるため専門学校や大学に通うルートに比べて費用面の負担は少ないものの、就職の難易度が高く、一人前の色彩設計・色設定になるまでの道のりはとても厳しいでしょう。
アニメの専門学校に通うメリット
色彩設計・色設定の仕事をめざすルートとして最もお勧めなのは、アニメの専門学校に通うルートです。アニメの専門学校には、以下のようなメリットがあります。
プロに学べる
アニメの専門学校では、プロの講師に指導を受けられる機会があります。業界の最前線で活躍するプロに教わることにより、現場で活きるスキルやノウハウが身につき、業界で求められる人材へと成長できます。
就職に有利
アニメの専門学校にはめざす職種に応じた専門的なスキルが身につくうえに、就職支援が手厚いという特徴があります。セミナーやイベントの企画、インターンシップの実施等により特定の業界に就職しやすくなっているので、絶対にアニメ業界に就職したいという方に向いています。
設備が充実している
専門学校には最新のソフトやコンピュータ等が完備されています。技術面のスキルは実機を動かしたほうが身につきやすいですが、自分でソフトやコンピュータを揃えるのは困難です。学校によっては放課後等に設備が開放されるので、仕事に近い環境で技術の習得をめざせます。
まとめ
アニメーション業界において、色彩設計・色指定の仕事はアニメ制作の根幹を担うセクションです。アニメのクオリティを大きく左右する彩色の仕事は、何にも代えがたいものです。
色彩設計者になるまでは、経験を積んでいかなければなりません。そのために、全体を俯瞰して統括する能力を身につけなければなりません。個人的ではなく、客観的にものごとを考えるようにしましょう。





