【初心者向け】アニメ背景の描き方と流れ、制作に必要なスキルを解説
アニメと言えばキャラクターが注目されがちですが、背景もまた作品を構成する大事な要素の1つです。世界観や雰囲気を演出したり、キャラクターの心情をさりげなく表現したり、さまざまな役割を果たします。
この記事ではそんなアニメ背景の描き方や、描く時の基本的な流れ、制作に必要なスキル等を解説します。
アニメ背景の代表的な3つの描き方
アニメ背景の代表的な作画方法は3つあります。
①原画を基に描く
背景の基となる初期段階の絵を「原画」と言います。この原画を基に、監督が求める風景を再現する方法です。監督や原画マンとゼロから擦り合わせ、背景として仕上げなければならないので難易度が高く、高度な技術が必要とされます。
②3D背景から描く
パソコンで3D背景を作成し、それをレタッチ(修正)する方法です。効率的にアニメ背景をつくりたい場合に向いています。立体的な背景に仕上がることから、視点の変化に対応しやすいという特徴があります。
③既存の絵や写真を編集する
既存の絵や写真をデザインソフト等で編集する方法です。比較的難易度が低く、それでいてリアリティを感じさせる世界観を演出できる背景を描けます。
アニメ背景を描く時の基本的な流れ
以下は、プロが仕事でアニメ背景をつくる時の基本的な流れです。将来、アニメ背景をつくる仕事がしたい方は、目を通してイメージをつかんでおくと良いですよ。
1.設定やテーマを決める
始めに、制作するアニメ背景の設定やテーマを決めます。設定やテーマを決めることで、全体の雰囲気や配置するもの等も固まってきます。
「5W1H(※)」や「起承転結」に沿って考えると決めやすくお勧めです。
※When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)
2.シミュレーションする
この段階では1で決めた設定やテーマを基に、手を動かさず頭の中で絵を作成します。
まずは構図とアングルを意識して、どの視点から何をどのように描くのかをイメージします。
構図とアングルが決まったら、今度は同じイメージを色つきで想像します。この場合の“色”とは青や緑といった単なるカラーではなく、光や影、質感等も含めた具体的な色味・色合い等を指します。
設定やテーマに合わせて詳細に想像していきましょう。
3資料を用意する
頭でイメージした絵を制作するために必要な写真を用意します。
この時に注意したいのは時間をかけすぎないこと。あまり多くの資料を集めすぎても使わないというケースがあるため、本当に必要なもののみを適切な時間で収集しましょう。そのために、描きたい背景の方向性をしっかりと定めておくことが大切です。
4.線画ラフを描く
次につくる彩色ラフのために、シミュレーションしたイメージをおおまかな絵にする工程です。まずはこれからつくる背景で主役になるものを配置し、その後に周りを描き込んでいってバランスを整えます。この時、ある程度画面や用紙のサイズを想定しながら描きましょう。後に変更が必要になると手間が増えてしまいます。
また、ここで描く線画ラフは最終的には使用しないのが一般的です。時間効率を考慮し、必要以上に描き込まず、重要な部分を表すのみに留めましょう。
5.彩色ラフをつくる
続いて線画ラフを基に、彩色ラフをつくっていきます。
流れとしては線画ラフの上に乗算モードでレイヤーを重ね、素材ごとにレイヤーを分けておおまかに色づけしていきます。(※デジタルツールを使用する場合)
まずは全体に色を置き、続いて質感や光による明暗を表現するための色を別のレイヤーで追加していく形で進めましょう。特に主役になるものは丁寧に描き込みをしていきます。
途中で全体をチェックし、主役が目立たないようであれば色味や光の演出方法等を変更し、調整しましょう。
6.仕上げを行う
彩色ラフにさらなる描き込みをして、仕上げを行う工程です。基本的にはその背景において重要なものから順に、細部を描き込んでいきます。
こちらも特に主役になるものに時間をかけるのが一般的です。そして彩色ラフをつくる時と同様に、主役の見え方がイメージと違ったり、見え方に難がある場合は調整します。
7.バランスを調整する
すべての工程が終わった後は、改めて一度全体のバランスをチェックします。画面を遠ざけて見る、左右反転して見る等、さまざまな距離や角度から確認してみてください。
この時に違和感を覚えたら最後の調整を行い、アニメ背景はようやく完成します。
アニメ背景の制作に必要なスキル
アニメ背景の制作に必要なスキルには以下のようなものがあります。
背景画の基礎知識
遠近感を表現するための「パース」や、目線の高さ・カメラの位置を意味する「アイレベル」、キャラクターを考慮した色味の合わせ方等、自然な背景画をつくるためにはさまざまな基礎知識が必要になります。こうした基礎知識は、アニメ背景を制作する際にも当然求められます。
画力
基礎知識を持っていても、画力がなければアニメ背景の制作はできません。特に基本的なデッサン力や、正方立方体・円柱・球体の光や影等を正確に表現できる技術、キャラクターのタッチに合わせて画風を変える技術等は必須です。
デザインツール・ソフトを扱うスキル
近年のアニメ業界では一般的に、デザインツールやソフトを利用して背景を制作します。このためデザインソフトを扱うスキルも身につけておくべきです。ペンタブレットや液晶タブレット等のツール、AdobeのデザインソフトPhotoshopは最低限使えるようにしておきましょう。
アニメ背景の制作に必要なスキルについては、以下のコラムもあわせてご覧ください。
>>アニメの背景美術になるには
まとめ
この記事ではアニメ背景の描き方や、描く時の基本的な流れ、制作に必要なスキル等を解説しました。
背景は魅力的なアニメをつくるための大事な要素。そんなアニメ背景を制作する仕事もまた重要度がとても高いと言えるでしょう。将来、アニメ背景の制作に携わりたい方は、今のうちから少しずつスキルの習得に励みましょう。
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