「小説を書く」と言っても、ただ頭に思い浮かんだことをつらつらと文字に起こせば良い、という訳ではありません。
きっちりとストーリーが成り立っており、なおかつ読者を最後まで楽しませること。
この二つを満たしてこそ、初めて「小説」と呼べる文章が完成するのです。
そこでこの記事では、小説の書き方の入門編として、物語を構成するための四つのステップについて、順を追って解説していきます。
「小説の書き方が知りたい!」という方はぜひ読んでみてくださいね。
①小説のテーマを決める
小説の書き方の中でも重要なのが「物語のテーマ」です。
方向性をしっかりと決めておかないと、ストーリーがぶれてしまい一貫性がなくなってしまいます。
まずは、どのようなテーマで小説を書くかをしっかり決めましょう。
ジャンルの決定
小説のテーマを決める際に軸となるのが「ジャンル決め」です。
ただ、恋愛、SF、推理もの、ホラー、時代劇等、小説にはさまざまなジャンルがあるので、いったいどんなジャンルの小説を書けば良いのか分からない、と悩んでしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、まず「自分が好きな小説」のジャンルを書いてみると良いでしょう。
ターゲット層を絞る
ジャンルが決定したら、読者のターゲット層を絞っていきましょう。
例えば恋愛小説にしても、女性目線であったり男性目線であったり、はたまた学生の恋愛模様であったり、大人の恋愛であったりと、ターゲット層によって、刺さる文章・内容が異なります。
自分の小説はどの層に読んでもらいたいかを想定することで、おのずと物語の書き方が見えてくる部分もあるでしょう。
②プロットを考える
自分が書きたい小説のテーマを決めたら、今度はプロットを考える必要があります。
プロットとは小説のあらすじとなる、簡単なストーリー構成のことです。
小説を書くための数ある工程の中でも、プロットは「小説の設計図」と言われる程に大切な存在です。
そして、プロットとともに小説で登場するキャラクターの設定や、物語が繰り広げられる舞台についてのアイデアを練っていきましょう。
キャラクターを設定する
魅力的な小説に欠かせないもの、それは魅力的なキャラクターです。
キャラクターの設定がしっかりできていれば、物語の中で彼らが生き生きと動いてくれて読者も感情移入しやすくなり、物語に没頭することができます。
魅力的な小説の書き方のポイントは「魅力的なキャラクターをつくる」こと、これを押さえておいてください。
参考までに、以下は最低限決めておきたい設定となります。
- 名前
- 年齢(生年月日)
- 性別
- 職業
- 性格
- 人間性を語るエピソード
舞台を決める
さて、キャラクター設定と同じくらい、おもしろい小説の書き方として欠かせないのが舞台設定です。
ここで気をつけたいのが、「書きたい」舞台設定と「書ける」舞台設定は必ずしもイコールでない、ということです。
例えば、「SFが好きだから、宇宙を舞台にした小説を書きたい」ということで舞台をSFと設定して執筆に取り掛かるとします。
しかし、ただ単にSFが好きなだけで知識はあまりない、となるとどうしても設定が甘くなったり、スト―リーに矛盾が生じたりします。
また、SFが好きだからこそ物語の完成度に納得がいかない、とガッカリして挫折してしまうことも。
挫折せずに安定して物語を書き切るために、例えば自分の住んでいる街、通っている学校等、「身近な場所」を舞台として設定してみると、筆が進みやすくなります。
まずは「書きたいもの」ではなく「書けるもの」から初めてみること、これが途中で挫折しない書き方になります。
③小説を執筆する
小説のテーマを決定し、プロットをつくり終えたら、いよいよ執筆作業に取り掛かります。
お勧めの執筆ソフト
小説の執筆作業でお勧めしたいのが、PCの執筆ソフトを使用すること。
だらだらと時間をかけて執筆してしまうと、その分集中力やモチベーションが低下し、途中で「もうやめた」と筆を折る結果となりかねません。
小説の書き方のコツは、無駄な時間を費やさず、作業を効率化させること、です。
お勧めの無料執筆ソフトをいくつかピックアップしてご紹介しましょう。
TeraPad
多くの人に長年愛用されているのがTeraPadです。難しい操作を一切必要としないシンプルな使い方なので、パソコン初心者の人でも簡単に使用できるでしょう。
Evernote
現在使用しているという方も多いかもしれませんが、無料のメモソフトEvernoteも小説の執筆に適したソフトです。
物語のアイデアを思いついたらすぐにメモができ、プロットをつくりつつ物語もつくることができるので、とにかく「思いついたら即書きたい!」という人にはお勧めです。
VerticalEditor
小説を書くのに特化したソフトがVerticalEditorです。主な特徴として、ふりがなが振れることと、縦書きができることが挙げられます。公募用に縦書きで小説を書きたい方にお勧めです。
文章の視点・文体を決めて書こう
最後にもう一つ大切な書き方のポイントとして「文体決め」があります。
物語を口語体で進めるのか、それとも文語体で進めるのか。
常体(である調)か、敬体(です・ます調)か。
文体で迷った時は、読者のペルソナを思い浮かべると良いでしょう。
例えば、カジュアルな物語を好む学生」を読み手に想定しているなら、口語体で軽めの書き方を。
「しっとりとした純文学を好む40~50代女性」を想定しているなら、一人称文語体で私小説風の書き方をする、等になります。
文章の視点や文体を決めるには、最初に決めたターゲット層が大いに関係してきます。
自分の書く物語はどんな人が読むのか、ターゲット層を考えて文章の視点や文体を決め、読者が読みやすい文章になるように心掛けましょう。
④推敲する
小説は書き終えればそれで終わり、ではありません。
小説を完結させたら、必ず読み直して手直しを加える「推敲」作業をしましょう。
推敲とはただ単に誤字脱字を確認するだけではありません。
読者の立場になり、「この小説は本当におもしろいか」「感情移入できるか」をしっかりとチェックします。
さらに、表現者として「もっと上手いストーリー運びができないか」「もっと良い表現方法はないか」を意識しましょう。
何度も何度も推敲して、磨き上げてこそ物語は形づくられるのです。
時間が許すのであれば数日後に改めて読み返してみると、新しい発見に気づくこともあります。
独りよがりの文章にならないように、しっかりと推敲して客観的に見ることで作品のクオリティも高くなりますので、推敲は欠かせないプロセスと意識しておきましょう。
小説家への第一歩は書き上げること
小説の書き方として本当に大切なこと、それは「最後まで書き上げること」です。
いざ執筆に取り掛かると、上手く文章が書けない、アイデアが浮かばない、書くこと自体に飽きてしまう等、さまざまな理由で手が止まってしまうこともあります。
小説を書き上げることは、想像以上に気力と体力が必要です。執筆途中でどれだけ稚拙な文章に思えても、魅力を感じなくても、とにかく最後まで書き上げましょう。
いくらおもしろいストーリーでも、完結させないことには出版社にも送れませんし、コンテストにも応募できません。
最後まできちんと書き上げることで、初めて小説家としてのスタートラインに立つことができるのです。
まとめ
書き方のコツと手順さえしっかり把握しておけば、小説を書くのは難しいことではありません。
それよりも大切なのは「最後までしっかりと完結させる」という強い意志です。
そのためには、まず自分が作品を心から愛してあげること。そして「書く」という行為を楽しむことです。
短編小説でもショートショートでもかまいません。
作品を書き上げることができれば、それがあなたの大きな自信に繋がるはずです。