コンセプトアートとは?2つの役割や制作手順を解説

コンセプトアートは、作品の世界観やイメージを決定づける、とても重要な役割を担っています。
完成した作品の雰囲気や方向性は、コンセプトアートの表現次第で大きく変わることもあります。
この記事では、コンセプトアートの役割と制作手順について解説します。
コンセプトアートは、ゲームやアニメ作品で使用されるため、これらの業界に興味のある方は、ぜひチェックしてください。
- 1.コンセプトアートとは?
- 1-1.コンセプトアートが使われるジャンル
- 2.コンセプトアートの2つの役割
- 2-1.制作チーム内の認識を統一する
- 2-2.出資者やユーザーに作品を訴求する
- 3.コンセプトアートの考え方
- 4.コンセプトアートの制作手順
- 4-1.ラフの作成
- 4-2.シルエットの作成
- 4-3.立体感の演出
- 4-4.彩色
- 4-5.詳細な描き込み
- 4-6.レイヤーでの調整
- 5.コンセプトアーティストの仕事内容
- 6.コンセプトアーティストに必要な資格・スキル
- 6-1.想像力
- 6-2.画力・表現力
- 6-3.コミュニケーション能力
- 7.まとめ
<目次>
コンセプトアートとは?
コンセプトアートとは、ゲームや映画等のエンターテイメントのジャンルで主に使用されるイラストの一種です。
その中でも文字通り「コンセプト」つまりアイデアや雰囲気のような抽象的なイメージを視覚化し、イラストとして表現したものを指します。
制作チーム内で作品の世界観やテーマを共有することで、「作品のイメージ」を全体に伝えるため重要な役割を担います。
このような、コンセプトアートの制作を仕事とする職種を「コンセプトアーティスト」と呼びます。
>>コンセプトアーティストとは?仕事内容や必要なスキル・資格を解説
コンセプトアートが使われるジャンル
コンセプトアートは古くから使われており、さまざまなジャンルに使用されています。
例えば、ファンタジー、SF、ディズニー映画等にも使用されており、ゲーム業界ではモンスターハンターやドラゴンクエスト、ファイナルファンタジー等の人気の高いゲームにも使われているのです。
コンセプトアートの2つの役割
コンセプトアートを使用する目的は主に2つあります。
具体的に見ていきましょう。
制作チーム内の認識を統一する
コンセプトアートを制作することにより、制作チーム内で作品に対する認識が統一され、世界観やテーマの認識のずれが起こりにくくなります。まさに作品の設計図のような役割を果たしています。
これにより、雰囲気や登場キャラクター、衣装や背景等作品全体に統一感が出て、魅力的に仕上げることができます。
出資者やユーザーに作品を訴求する
作品をつくる際には、プロデューサーや製作委員会等の出資者に承認を得る必要があります。
文字だけではイメージを伝えることが困難ですが、コンセプトアートを提出することで、企画段階から作品の魅力を伝えやすくなり、制作を承認してもらえる可能性が高まります。
また、ユーザーにコンセプトアートを見せることで作品内容がイメージしやすくなり、期待感が高まり、購入のきっかけをつくる役割も果たしています。
コンセプトアートの考え方
コンセプトアートを制作する際は、まずは複数枚のスケッチを描いてイメージを膨らませることが大切です。この時点では、伝わりやすさを考慮する必要はなく、作品のイメージを視覚化することに集中します。
複数枚スケッチを描いていき、作品を表すのにふさわしいアイデアやシチュエーションが浮かんできたら、最終的には複数枚のイメージを、一つの世界観としてまとめ上げていくように進めていきます。
構図が浮かばない時は、さまざまなエンターテイメントに触れるとヒントが得られるでしょう。
コンセプトアートの制作手順

ここからは、コンセプトアートの具体的な制作手順の一例を見ていきましょう。
ラフの作成
まず、ラフを作成します。これが全体のイメージの基本となるため、ある程度は丁寧に仕上げる必要があります。
シルエットの作成
次に、シルエットを作成します。
デジタルデータにするために、「Photoshop(フォトショップ)」で取り込みシルエットをつけていくのが一般的です。アナログのスケッチに、単色を載せることで位置関係が把握しやすくなります。
立体感の演出
単色でおおまかな形をとるだけでは、まだ立体感が乏しいため、光の当たり方等を考慮しながら濃淡をつけましょう。
これにより、よりリアルで立体的な表現が可能になります。
彩色
続いて、色をつけていきます。Photoshopのレイヤー機能を複数使用することで、よりリアルな色合いを表現します。
この際に、緻密な部分の描きこみや全体のバランスを見落としたまま進行すると、コンセプトアートの目的とずれてしまうこともあるため、全体のバランスを考慮しながら色づけしていきましょう。
詳細な描き込み
詳細な描き込みをし、不足している箇所を補っていきます。
作品のイメージが伝わりやすい箇所や、目立つポイントに集中して作業すると、バランスよく仕上がるでしょう。
この時に、つい画面を拡大してしまいがちですが、描きこみすぎて伝わりにくくなってしまうことがあるため、全体を確認する意識を忘れずに進めましょう。
レイヤーでの調整
最後に、効果レイヤーを使用し、陰影をつけます。
主に、乗算やオーバーレイ、ハードライトを使用することが多くなります。
再度全体のバランスを確認し、加筆修正などの最終調整を行いましょう。
この作業が完了したら、クライアントへ提出し確認してもらいます。
コンセプトアーティストの仕事内容
コンセプトアートを制作するのはもちろんですが、先述の制作に加えて、「ヒアリング」と「制作チームのスタッフへの共有」もコンセプトアーティストの仕事に含まれます。
ヒアリングではクライアントに、作品のコンセプト、ジャンル、登場キャラクターの性質、世界観等の聞き取りをします。聞き取りすることで、イメージが膨らみ作品の世界観が想像しやすくなります。
また、制作が終わり、コンセプトアートが採用されたらデザイナーやクリエーター等、制作チームのスタッフに共有するのも仕事の1つです。
ゲーム作品ならば、コンセプトアートを基にデザイナーやクリエーターがデザインを作成していきます。実写作品の場合は、道具や衣装等を用意します。
>>コンセプトアーティストとは?仕事内容や必要なスキル・資格を解説
コンセプトアーティストに必要な資格・スキル

コンセプトアーティストに必要な資格は特にありません。しかし、取得していたほうが有利な資格や、必要なスキルはあります。
資格に関しては、こちらの記事をご覧ください。
>>コンセプトアーティストとは?仕事内容や必要なスキル・資格を解説
想像力
コンセプトアートに重要なのは想像力です。
与えられた文字、言葉等の情報からどれだけイメージを膨らませられるかが重要なポイントとなります。
このような想像力を鍛えるためには、映画や小説等のさまざまなエンターテインメント作品に多く触れ、発想の引き出しを増やしましょう。
画力・表現力
アイデアや雰囲気のような抽象的なイメージを伝えるための画力・表現力がコンセプトアーティストには必須です。
イラストを描く能力はもちろん、キャラクターの個性を表現する能力や、人間以外の背景や小道具をデザインする能力、そして作品の雰囲気を伝える配色センス等も重要なスキルです。
コミュニケーション能力
コンセプトアートはクライアントの意向に沿って制作を進めるため、クライアントから情報を引き出すためのヒアリング力も大切になります。
また、クライアントが伝えたい内容を理解し、それを制作チーム内に共有・提案する力も求められます。
これらの作業を円滑に進めるには、高いコミュニケーション能力が求められます。
まとめ

この記事では、コンセプトアートの2つの役割と制作手順を解説しました。
コンセプトアートは、クライアントからヒアリングした世界観を視覚化することで、制作チームの認識を統一し、作品を魅力的に仕上げるうえで欠かせない存在です。
コンセプトアーティストになるには、想像力や画力、表現力が何よりも重要になります。
これらを本格的に学びたい方には、専門学校デジタルアーツ東京がお勧めです。
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コンセプトアーティストをめざす方は、ぜひ一度、体験入学や学校説明会にご参加ください。
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