アニメは、キャラクターやシナリオ、音楽等のさまざまな要素が組み合わさり完成します。
その中でも、作品全体の雰囲気をつくり上げるのに欠かせないのが、背景です。
アニメの美術監督は、こうした作品全体の背景美術をまとめる重要な役割を担っています。
この記事では、アニメの美術監督になるにはどんなキャリアがあるのか、必要なスキルは何か等について紹介していきます。
アニメの美術監督をめざしている方は、ぜひ読んでみてくださいね。
美術監督になるには背景美術からスタート
美術監督になるには、まず背景美術からキャリアをスタートします。
背景美術は、「美術ボード」や「美術設定」等をもとに、背景画を描いていく仕事です。
こうした背景美術の仕事から始まり、任される仕事量が増えていくにつれ、美術設定や美術助監督とステップアップしていく人もいます。
美術設定はアニメ背景の設計書となる線画を描く仕事、美術助監督は美術監督の補佐を担う仕事です。
主にこうした過程を経て、美術監督になっていきます。
美術監督の主な仕事
美術監督の主な仕事は、アニメ作品の世界観や雰囲気、色を決めることです。
まずは、「美術ボード」と呼ばれる色つきの設定をつくっていきます。
美術ボードは、作品に大きな影響をおよぼす重要な設定のため、監督と繰り返し打ち合わせしながら制作していくことがほとんどです。
その後、背景を担当するチームに指示を出し、作品の背景を制作していきます。
こうした、背景を担当するチームを取りまとめるのも、美術監督の役割です。
アニメ作品は、キャラクターの絵を除くすべての美術を、背景美術が担当します。
そのため、美術監督はアニメ作品全体の質を左右する重要な仕事です。
美術監督に必要なスキル
ここからは、アニメの美術監督に必要なスキルについてみていきましょう。
デッサン
美術監督になるためには、第一段階である背景美術を的確に描ける力が必要です。
その人自身の画力を測るデッサン力は、欠かせないスキルといえるでしょう。
デッサンの力はすぐに身につくものではありませんが、トレーニングしていくことでスキルアップを図れます。
アニメの美術監督をめざす人は、しっかりと上達させておきましょう。
デザインソフトの操作スキル
ほとんどのアニメ作品は、デザインソフトを使って背景美術を描いていきます。
そのため、デザインソフトの基本的な操作スキルも、しっかり身につけておくことが大切です。
特に、”Photoshop”の使用経験を問われることが多いでしょう。
制作会社によっては、”Illustrator”等の、ペイントソフトの使用経験を求める場合もあります。
また、ペンタブレットが使えるようになっておくと、背景美術の仕事にも役立つでしょう。
幅広い画風
アニメの背景美術では、さまざまな作品の背景を担当するため、それぞれの世界観に合った背景を描き分けるスキルが必要です。
幅広い画風に対応する力があれば、それぞれの雰囲気にフィットした背景美術を描くことができるでしょう。
また、アニメの背景美術は、クライアントの要望に応じながら完成をめざしていきます。
こうした要望に柔軟に応えられるスキルを磨いておくことも大切でしょう。
他にもある!美術に関する仕事
前述でも少し解説しましたが、美術に関する仕事は、美術監督だけに限りません。
ここからは、先程よりももう少し詳しくそれぞれの仕事についてみていきましょう。
背景美術
背景美術の仕事は、主に背景を描いていくことです。
30分のアニメ作品だと、1話の中で200~400カット程の背景を描いていきます。
必要枚数をチームで分担し、それぞれ週に20~40枚程のペースで背景を描くことが多いでしょう。
美術設定
美術設定の仕事は、背景美術を線画で描き出していく仕事です。
美術監督が兼任する場合もありますが、独立した役割としているチームも増えています。
美術監督と話し合いながら、背景の原案制作を担うポジションです。
美術監督の意図を汲み取る力も求められるため、コミュニケーション能力やイメージを言語化する力等のスキルも大切です。
美術助監督
美術監督は、美術監督の補佐を担う役割で、スケジュール管理や打ち合わせ等の仕事を行います。
美術監督が作品全体の背景の方向性をまとめるのに対して、美術助監督は主に背景担当チームへの指示出しや教育等の実務全般を担っています。
美術監督が兼任する場合もありますが、規模の大きな作品程、美術助監督の存在は欠かせません。
背景美術の制作には長い期間が必要であるため、スケジュールを守りながら進行していくことは重要です。
こうした、仕事の量やクオリティーを保つスキルが美術助監督には求められます。
まとめ
アニメの美術監督は、作品の雰囲気をつくり上げる背景美術を、一手に担う存在です。
美術監督になるには、デッサン力やデザインソフトを使いこなすスキル等を磨き、経験を積んでいくことが大切です。
風景を描くのが好きな方やさまざまなアニメ作品に携わりたい方は、ぜひめざしてみてはいかがでしょうか?